2023年1月の JSDCLOUD-10709 の更新により、Jira Service Management の動的なフォームの中で資産管理フィールドを扱えるようになりました。資産管理機能のフィールドは非常に柔軟に情報を格納することができるので、動的なフォームで実現できるユースケースの幅が広がりました。一方、柔軟に設定できる反面、どのようなことが実現できるのかイメージしにくいかもしれませんので、この記事で具体的なサンプルをご紹介します。
ℹ️資産管理機能はJira Service Management の Premium/Enterprise 版で提供されています。
イメージしやすいサンプルとして「会社の貸与資産の問い合わせ窓口」を作るという例をご紹介します。会社で働く社員には様々な会社の資産が貸与されているかと思います。コンピュータをはじめとして、生産性向上のためにモニターやスマホを貸与しているケースもあるでしょう。その際に、IT部門や総務部門では各社員に配布された多種多様の備品を把握しておかなくてはいけません。
PCなどの機器に問題が発生して、ある社員がIT部門に問い合わせをしてきたとしましょう。その際に、それがどのIDの資産で、どこのメーカーのどのモデルで、どのくらいの期間使っているのか、といった情報を紐づける必要があります。
百聞は一見にしかず、実際のカスタマー問い合わせ画面を見てみましょう。
このサービス窓口では、以下の3ステップの処理を組み込んでいます。
問い合わせた人が所有している資産をピックアップし、
その資産に関する情報(機種など)を参照し、
問い合わせした人の選択に対して然るべき対応を促す
動画の例では私のテスト用アカウントに紐づく資産をリストアップして、それぞれの機器に応じた案内を表示するように設定しています。
Jira Service Management の動的フォーム機能、資産管理機能を使うとこのような処理の設定をローコード(ほぼノーコード)で実現することが可能です。それぞれのステップごとに紹介していきます。
前提として、このサンプルではJira 資産管理機能上で資産を管理しているものとします。これは現実よりもかなり単純化したサンプルですが、資産情報を以下のようなデータ構造で保持しているものとします。
それぞれの情報は資産管理画面上は以下のように表現されます。在庫情報としてユーザが保持する在庫情報を管理しています。また、どのようなIT資産を持っているか、紐付けてあります。
動的フォームを使って、問い合わせした人に紐づく在庫情報を表示させるように設定しましょう。これは、動的フォームの設定画面で、アセット(資産)フィールドを以下のように設定することで実現可能です。
この際に、Jira フィールドとして、この資産情報と紐づいた「アセット」タイプのカスタムフィールドを作成しておくのがポイントです。
(※)フォルター課題スコープとして、以下のAQLを設定しています。「所有者」は在庫テーブルの中の一つのフィールドの名前です。
所有者=currentReporter()
上記を設定できたら、次は該当の資産がどの機種か特定するための「アセット」タイプのカスタムフィールドを用意します。動的フォーム上は、会社で保持しうるIT資産の種類と紐付けるものとします。
この「資産の種類」は資産管理画面上では以下のように表現されます。
動的フォームで、手順1の際に選択した資産に紐づく種類を取得してくる必要があります。そのためにはカスタムフィールドに少し凝った設定を入れる必要があります。
フィルター課題スコープに以下のようなAQLを指定してください。
object HAVING inboundReferences(objectId = ${customfield_XXXXX${0}})
(customfield_XXXXX
の末尾は手順1の資産情報を表すカスタムフィールドIDを入力してください。カスタムフィールドIDの見つけ方は How to find any custom field's IDs をご参照ください)
また、「フィールドをカスタマーポータルに表示する際に、既定のオブジェクトを表示」も「はい」の設定にしておくと、データベースから取得した情報が動的フォーム上も自動補完されます。
手順1、2が設定できていれば残りはそれほど難しくありません。手順2でどの機種に対する問い合わせか特定できていますので、それに対応する案内を記載します。これは、動的フォームの「セクション」の設定で先ほどのフォームの選択を条件に含めることで実現可能です。
Jira Service Management の動的なフォーム作成機能ではもともと柔軟な設定が可能でしたが、このたびの資産フィールドのサポートのおかげで、より高度な構成ができるようになりました。この記事で紹介した「貸与機器の問い合わせ窓口」といった使い方にとどまらず、様々な業務に沿ったサービス管理窓口を構成できるはずです。
うまく構成することができれば、問い合わせを行う人の体験を改善させられるだけでなく、フォーム上で対話的に問題を解決し問い合わせの数自体を減らすことができる可能性もあります。
今回例示したサンプルは非常にシンプルなデータ構造を想定しており、現実にはもっと複雑になる可能性はありますが、ぜひ機能を応用して業務改善にお役立てください。
この記事のサンプルについてのお問い合わせはこのコミュニティ記事のコメント欄に直接お寄せください。また、この記事の例を応用して実装に取り組んだり、使い方について質問したい場合は アトラシアンの提供するアドバイザリーサービス や、アトラシアンと提携しているソリューションパートナーまでご相談ください。
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Nobuyuki Mukai
Enterprise Technical Architect
Atlassian
Japan
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